· パイロットの目 · 10 min read
違和感という名のコックピット警告音
パイロット時代、天気もいい、機体や運航システムも問題なし、でもなんとなく「嫌な感じ」がすることがありました。 今の時代、経済的な運航を求められていて、天候が良好な時の予備燃料は、代替空港までの燃料プラス5〜10分程度しか搭載していません。地震や、バードストライクなどで空港が一時閉鎖されると、すぐに他の空港に行く決断をしなくてはいけない状態になってしまいます。
ちょっと燃料を多めに行こう
か
パイロット時代、天気もいい、機体や運航システムも問題なし、でもなんとなく「嫌な感じ」がすることがありました。
今の時代、経済的な運航を求められていて、天候が良好な時の予備燃料は、代替空港までの燃料プラス5〜10分程度しか搭載していません。地震や、バードストライクなどで空港が一時閉鎖されると、すぐに他の空港に行く決断をしなくてはいけない状態になってしまいます。
普通、そんな良好な日は、無駄に燃料を使わないように、「予備燃料は5分で」ということで出発します。
しかし、時々、「なんか嫌な感じがするな〜」ってことがあるんですね。
そんな時、予備燃料を30分くらい多めにしていくことがありました。
記憶に残っているからだけかもしれませんが、そんな時は、バードストライクがあったり、地震が起きたりして一時的にホールディングさせられることがあり、「予備燃料を持っていてよかった〜」ってことが何度かありました。
論理的な根拠はない。でも、長年の経験が何かを察知しているようです。
直感は説明できない、ひらめきは説明できる
ここで大切なのは、直感とひらめきを混同しないことです。
直感は訓練された感覚で、なぜそう思ったのか説明できない感覚です。
ひらめきは、あとから「なるほど、だからか」と説明できる感覚なんですね。
大切なことは、これらの感覚と思いつきを混同しないことです。
思いつきは、知識や経験のない分野での単なる思い込みです。
知識のない分野では、自分の中に湧いてきた感覚を一度考え直してみることが大切だと思っています。
動く前に、その分野で十分な知識と経験があるかどうかを自問することが大切かもしれません。
違和感の正体
多くの人は違和感を感じると、すぐに相手を否定したくなります。
「それは間違っている」
「おかしいじゃないか」
「常識がない」
でも、ちょっと待ってください。その違和感、本当に相手の問題でしょうか?
人は、いつも親しんでいる、慣れている、見ていることが正しいと思い込みます。慣れていないことを「違うもの」として否定したくなります。
もしかすると、自分の「当たり前」が揺れただけかもしれません。
時間という価値観
例えば、相手が約束に遅れてきた時。「時間を守らないなんて、なんてやつだ」そう思った瞬間、違和感が生まれます。
でも、何か遅れる事情があったのかもしれません。時間を守ることに、あなたほど価値を置いていないのかもしれません。
タイにウィンドサーフィンのレースに行った時、道具を空港から運んでくるのに、3時間くらいの道のりを3日もかかったことがありました。なんでと怒っても、相手は「着いたからいいじゃない」という感じ。
石垣島で燃料補給を予約して行っても、朝9時に着くから「すぐに燃料を入れて」とお願いしていても、燃料補給の車が来るのが昼過ぎ。電話しても「もう出るから、もう出るから」の一点張りです。
南国の人々が時間にゆったりしているのは、厳しい自然に追われることが少ないからかもしれません。「おおらかさ」や「今を楽しむ」文化が根づいているんですね。
時間を守ることよりも、人とのつながりやその場の雰囲気を大切にする価値観が根底にあるのかも。
あなたの「当たり前」が、相手には「当たり前」じゃない可能性があります。
コックピットでの違和感
飛行中、副操縦士が「あの雲なんか気になります」と言ったとします。薄い雲で大丈夫そうです。
でも、副操縦士がざわついているのであれば、今の経験豊富な機長なら回避策を取っていくと思います。
「あんな雲大丈夫だよ」
「よく見てみろよ!」
なんてことは言いません。
違和感を否定するのではなく、丁寧に聞き取る。
そうすると、自分の中で、見落としていた重要な情報が見つかることがあります。
違和感は情報の宝庫
副操縦士の「なんとなく気になる」という一言で、実際に危険を回避できたことが何度かありました。論理的な説明はできないけれど、何かを感じ取っていたんですね。
私もこう感じた時、一旦は素直に従うようにしています。
思いつきと直感の違い
良い例が、私の金融関係ですね。自分でいいと思った株が買った途端に下がる、下がると思って売ると上がる。どこかで誰かが見ているのかと思うほど。
多分、知識がないので、どこかで刷り込まれているのでしょう。
知識のない分野は、自分の感覚を疑うことが大切だと痛感しました。
違和感を無視した時の怖さ
私たちパイロットの世界では、「違和感を無視することの怖さ」を嫌というほど学ばされます。過去の事故報告書を読むと、「誰かが『なんか変だな』と感じていたのに…」というケースが本当に多いんです。
でも、その時は「まあ、大丈夫だろう」「考えすぎかな」で済ませてしまう。私も何度も経験があります。
違和感には、すぐに「正しい」「間違い」を判断するのではなく、少し立ち止まってみてください。
「なぜ自分はそう感じたのだろう?」
「相手と自分は何が違うのだろう?」
「自分の見落としはないか?」
その姿勢の中に、柔らかく世界を見つめ直すヒントがあるような気がします。
あなたも「なんとなく変だな」と感じて、後で重要な発見につながった経験はありませんか?そんな体験があれば、ぜひコメントでお聞かせください。
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