· パイロットの目 · 7 min read
ダメ人間製造マニュアル
人間をダメにしてしまうのは、至極簡単です。 何かやっている最中に、ちょっと声をかけるとか、違うことに意識を向けるようにすると、人間は簡単に操作をスキップしたり、間違ったりします。 やるべきことが、重要で、簡単なルーティーンであればあるほど、たやすく、スキップやミスをさせることができます。
驚くほど簡単な破壊術
人間をダメにしてしまうのは、至極簡単です。
何かやっている最中に、ちょっと声をかけるとか、違うことに意識を向けるようにすると、人間は簡単に操作をスキップしたり、間違ったりします。
やるべきことが、重要で、簡単なルーティーンであればあるほど、たやすく、スキップやミスをさせることができます。
その時に、権威勾配、罰則規定が強ければ強いほど、効果があります。
ミスさせる相手は、素直で、一生懸命に物事をやろうとする性格の人間がいいでしょう。
実践的破壊プロセス
例えば、あなたは重要な案件なので、すぐ処理をさせたいのです。リーダーシップを発揮して、すぐに取りかからせます。
重要なルーティーン中でも、ちょっと声をかけて、注意をそぎます。
相手のやっていることは、重要だけれども簡単なことなのです。 注意していたら、間違うはずはないのです。
製造者の心理
実は、あれこれ口を出すのは、自信のない証拠です。
「本当に大丈夫だろうか」 「ちゃんとできているだろうか」 「見ていないと何かミスをするのでは」
自分に自信がないので、人のことが気になって仕方なくなります。
こうした不安から、つい声をかけてしまうのです。ちょっと心配そうな表情で「大丈夫?」と声をかけたり、少し眉間にしわを寄せながら「これってどうなってる?」と確認したりします。
声をかける本人は、部下を気にかけている良い上司だと自分で思えるので、とても気持ちがいいのです。
言われた相手は、上司の声には絶対に返事しなければという条件反射で、どんなに集中していても「はい」と返事をしなければいけないという習性で反応してくれるのですから。
実例:着陸進入での製造現場
私がパイロット時代に体験した、この「製造法」の実例をお話しします。
着陸の時は、速度、降下率、滑走路に対する方向、風の影響への対応を総合的に瞬時に判断し反応をしなければなりません。
その時に「速度は?」「滑走路は?」と言われると、そちらに意識を向けてしまい総合的な判断ができなくなり、他の諸元が狂ってきて、また他の諸元に対して言われるという悪循環が起こります。
例えば、速度に意識を向けている間に降下率が狂い、「降下率が大きすぎる」と言われる。降下率を修正している間に今度は方向がずれて「コースが右にずれてる」と言われる。
見事な負のスパイラルの完成です。
破壊の瞬間
あなたの思惑通り、言われた方は、ルーティーンを中断するためにミスを犯してしまいます。
そしたら、あなたは落ち着いた「良いリーダー」です。
ちょっと冷静に、「もっと注意してやろうよ!」と暖かい声をかけてあげましょう。
もう一度、同じような状況で、同じようにしてみましょう。
また、ミスをしたら、「なにやってるの?〇〇くんらしくないね。いつも同じ事ばかりしてるよね。」と言ってあげます。
そして次は、そっとしておいてあげようと、少し距離をとって、冷ややかな態度を取りましょう。
あ〜信頼を裏切ってしまった。私はダメだと思われている。 なんとかしなくてはと、相手の意に沿うようなことをし始めてしまいます。
これで、その人間は、完全につぶれていきます。 簡単です。
製造完了
羽田空港で、新しい滑走路がオープンする前に、滑走路に大きなバツ印がついているにもかかわらず、その滑走路に降りてしまった事故が
ありました。
優秀なパイロットでも、注意が他に向けられた瞬間、重要な情報を見落としてしまうのです。
スマホで話しながらの運転事故が多いのも、まさにこのためです。
権威勾配のある関係では、どんなに集中していても、上司の声には反応せざるを得ません。この生理的反応を利用すれば、どんなに優秀な人でも簡単にミスをさせることができてしまいます。
ダメ人間の、いっちょ上がりです。
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