· パイロットの目  · 13 min read

100万円のシステムを、2時間で作った話

今朝、よくわからないまま業務システムを1つ作ってしまいました。 いや、「作った」と言うと語弊がありますね。正確には「AIに相談しながら、なんとか動くものができた」という方が近いです。 所属する日本操縦士協会(JAPA)で、フライトシミュレーター(FTD)の予約管理を担当しています。

今朝、よくわからないまま業務システムを1つ作ってしまいました。

いや、「作った」と言うと語弊がありますね。正確には「AIに相談しながら、なんとか動くものができた」という方が近いです。

所属する日本操縦士協会(JAPA)で、フライトシミュレーター(FTD)の予約管理を担当しています。JAPAは公益社団法人で、ボランティア組織です。当然、報酬はありません。

それなのに、毎朝、毎夕、予約カレンダーとメールをチェックして、スプレッドシートに手入力して、オペレーターに連絡して、アサインを調整して、確認メールを送る。全部手作業です。

はっきり言って、ムカムカしていました。

誰かに文句を言いたいわけじゃないんです。自分で引き受けた仕事だし、必要な仕事ですし。でも、タダ働きで毎日同じ作業を繰り返していると、「これ、なんとかならないのか」という気持ちがじわじわ溜まってくるんですよね。


朝6時、よくわからないまま始めた

結構いい年なので、朝早く目覚めるのです。本を読んで、またJAPAのメールをチェック。

ふとClaudeを開いて、「予約管理を自動化したいんだけど」と相談してみたんです。

正直なところ、プログラミングの知識はありません。GAS(Google Apps Script)という言葉すら、この朝まで知りませんでした。

それに、めんどくさいな、という気持ちもありました。全くの知識のない分野です。以前も何度かAIに相談したことはあるのですが、不毛なやり取りが延々と続いて、結局ものにならなかったことがあります。今回もそうなるんじゃないか、と。

でも、聞いてみたら「できますよ」と返ってきました。

じゃあ、やってみるか。


つまずきの連続

最初に聞いたのは、「まずカレンダーのデータって読めるの?」ということだけでした。

読めた。

次は「それをスプレッドシートに書き込める?」。

書き込めた。

ここまでは順調でした。

が、そこからが大変だったんです。シート名が合わなくてデータが入らない。チェックボックスを入れたら上書きされる。同じ予約が何十行も重複して入る。

Claudeに「こうなっちゃったんだけど」と画面を見せるたびに、「あ、それはこの部分が原因ですね」と教えてくれます。直す。また別のところが壊れる。その繰り返しです。

完璧に一発で動いたわけではないです。何度もつまずいて、何度も聞き直しました。

でも、そのすべてが2時間の中で起きて、2時間の中で解決したんです。


できたもの

朝8時前には、こんな仕組みが動いていました。

Googleカレンダーに予約が入ると、自動でスプレッドシートに行が追加されます。新規予約は赤文字で表示される。

オペレーターが候補欄に名前を入れると、関係者にメールが届きます。

担当者をアサインすると、メーリングリストに自動配信されます。文字色が赤から黒に変わって、アサイン済みが一目でわかる。

担当者が承認チェックを入れると、行の背景が薄緑に変わります。

予約日の5日前になっても担当者が決まっていないと、毎朝アラートメールが届きます。

正直、自分でもちょっと信じられませんでした。


「これ、外注したらいくらだろう」

ふと気になって調べてみました。

フリーランスのエンジニアに頼んで15〜30万円。中小の開発会社なら30〜60万円。大手に出せば100万円を超えることもあるそうです。そこに月々の保守費用。要件定義の打ち合わせだけで何回。完成まで1〜2ヶ月。

今朝、2時間で動きました。

もちろん、プロが作ったものとは完成度が違うと思います。セキュリティの考慮も、エラーハンドリングも、甘いところはあるはずです。

でも「毎週の手作業をなくす」という目的は、十分に達成されました。


「なんとなく怖い」で止まっていた

ところで、こういう話をすると「セキュリティは大丈夫なの?」と聞かれることがあります。

実際、今回のケースで言えば、AIに相談したのは仕組みの設計とコードだけです。予約データ自体は社内のGoogle Workspaceの中で完結していて、会員の個人情報をAIに渡したわけではありません。

ただ、私自身もつい最近まで「AIに仕事のことを聞くのって、なんか危なくないの?」と漠然と思っていました。何が危ないのか具体的にはわかっていないのに、「なんとなく怖い」。

この「なんとなく」が厄介なんですよね。中身を確認すれば「ここは大丈夫、ここは気をつける」と切り分けられるのに、「なんとなく」のまま止まっていると、いつまでも動けない。

私も長いこと、そこで止まっていました。


小さく始めて、小さく確かめた

振り返ると、うまくいった理由が2つあるように思います。

1つは、「小さく分けた」こと。

最初から完成形を作ろうとしませんでした。「カレンダーが読めるか」だけを確認した。読めたら、次。読めなかったら、そこで方向転換すればいい。

この考え方は、toiee Lab(トイラボ)で10年以上ラーニングファシリテーターをやってきた中で身についたものです。手順を覚えるのではなく、小さく試して、結果を見て、次を考える。学び方そのものを学ぶ、というやつですね。

もう1つは、プログラミングはできなくても、AIやコンピューターの世界の大きな概念を持っていたこと。

「Googleカレンダーのデータは外から読み書きできるはず」「スプレッドシートにはスクリプトを仕込める仕組みがあるはず」——コードは書けなくても、仕組みの全体像がぼんやり見えていました。だからClaudeに「こういうことがしたい」と伝えられたんだと思います。

これは何の分野でも同じような気がしています。たとえば飛行機は、空気の中を飛んでいます。温度が変われば空気の密度が変わる。風が変われば機体の挙動が変わる。その「刻々と変わる空気の中にいる」という大きなイメージを持てている人は、細かいことを知らなくても安全に飛べるし、成長も速いんですよね。

逆に、手順だけを暗記している人は、想定外のことが起きた瞬間に止まってしまう。

今回のAIとのやり取りも、似たようなものだったのかもしれません。細かいコードの書き方は知らなくても、「全体としてどういう仕組みなのか」がわかっていると、つまずいても焦らない。「ここまでは動いている。壊れたのはこの部分だけ」と切り分けられる。

この2つ——小さく分ける考え方と、大きな概念の理解——はどちらもtoiee Labで身についたものです。まさかこんな形で役に立つとは思いませんでした。


今日のコンパス

能書を垂れるな、実際にやれ。

これは自分に言っています。

おかしな話なんですが、AIは普段から結構使っていたんです。文章を書くときも、調べものをするときも。なのに、「この予約管理をAIで自動化できる」とは思いつきもしなかった。毎朝毎夕、ムカムカしながら手作業を繰り返していたのに、です。

目の前に道具があっても、「これに使える」と結びつかなければ、ないのと同じなんですよね。

今朝の2時間で、あのムカムカが消えました。年間で考えれば、数百時間の節約になります。

もし「やってみたいけど、何から始めればいいかわからない」という方がいたら、さっき書いたtoiee Labの「Claude Code 超入門」(無料)を覗いてみてください。仕組みを理解しながら進めるので、講座の後も自分で応用が効くと思います。

[https://online.toiee.jp/courses/cc-for-begineer

——でもまあ、講座を受けなくても、今すぐできることはあります。

あなたの仕事の中で「毎回同じことを繰り返している作業」を1つ思い浮かべてみてください。

そして、AIに聞いてみてください。「これ、自動化できる?」と。

答えは、たぶん「はい」です。

そして、たぶんつまずきます。私も盛大につまずきました。

でも、それが2時間で終わるなら——やってみる価値はあるんじゃないかと、今朝の私は思っています。

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