· パイロットの目  · 7 min read

1985年8月12日の記録 - 飛行軌跡の再現と地上取材

事故から数日後、123便の飛行軌跡が公表されました。 フジテレビから「123便の航跡をたどって飛行したい。フゴイド運動やダッチロールの状況を再現して飛行してほしい」という企画の依頼が入りました。 サイテーションにはヨーダンパー(横方向の揺れを抑制する装置)がないため、ジャンボ機のようなダッチロールの完全な再現は困難でしたが、ラダー(方向舵)を使って可能な限り再現しました。

飛行軌跡の再現

事故から数日後、123便の飛行軌跡が公表されました。

フジテレビから「123便の航跡をたどって飛行したい。フゴイド運動やダッチロールの状況を再現して飛行してほしい」という企画の依頼が入りました。

フゴイド運動とは、航空機が縦方向に波打つように上下を繰り返す不安定な運動のことです。ダッチロールは、機体が左右に振れながら同時にねじれるような複合的な運動を指します。通常の飛行では決して経験することのない、極めて異常な状態です。

サイテーションにはヨーダンパー(横方向の揺れを抑制する装置)がないため、ジャンボ機のようなダッチロールの完全な再現は困難でしたが、ラダー(方向舵)を使って可能な限り再現しました。

飛行記録によると、123便は以下のような激しい運動を続けていました:

ピッチ角:上向き+20度から下向き-15度まで大きく変動

バンク角:左右に60度近くまで傾斜

これらにダッチロールが加わった複合運動

通常では絶対に経験することのない飛行でした。

その日は、123便の出発時刻に合わせて、離陸していきました。

事故が発生した時刻から、発表されたルートを正確に飛行していきました。

伊豆半島上空から、24000ftから22000ftの高度を維持しながら、焼津、それから大きく北へ進路を変え、富士山の西側を飛行していきました。

富士山を過ぎたあたりから、徐々に高度を下げていきます。

途中、大きなバンクや、ピッチアップ、不安定な飛行を続け、大月上空で、360度の旋回をしていました。

機内では、これらの激しい動きによって強烈な加速度(G力)が発生していました。バンクや滑り、急激なピッチアップ・ダウンにより、キャビンの人たちは想像を絶する恐怖を体験していたはずです。

乗務員は減圧とアンコントロール状態が同時に発生している状況にありました。通常であれば何度も訓練されているため絶対に装着するはずの酸素マスクも、取り付ける余裕がない状態だったのでしょう。

その頃から、高度が下がっていきました。

山の尾根がどんどん近づいてきます。

当該乗員の気持ちを考えると胸が詰まり、息が苦しくなってきます。

事故発生から、およそ30分

「もうダメかもわからんね」

最後の機長の言葉が、耳に響きます。

尾根に最接近し、「プルアップ、プルアップ、テレインテレイン」

地上接近のアラートが激しくなっていました。

地上からの取材(伝聞)

現場へは、地上からの取材のため、4班を事故現場の4方向から向かわせたと聞いています。

まったく道のない山の中を、場所も定かではない尾根を目指してカメラマンと記者が組んで登っていったそうです。

2班は遭難しそうになり、断念しましたが、東側から登って行った2班は、現場にたどり着くことができたということでした。

ほぼ1日かかって現場に入ったそうです。

その後2日間は、補給もなく、持ってきた水とインスタントラーメンを齧りながら野宿をしたと聞きました。

現場の様子について、彼らが話してくれた内容は、ここでは書けないほどの悲惨さだったそうです。

2日後には、現場にヘリポートが作られて、水や食料、交替要員が補充されました。ヘリポートの使用は、各社に時間が割り当てられ、救難作業の合間に飛んで行きました。

慰霊飛行(同僚の体験談)

救助作業や現場検証が終了した頃、私たちの会社に現場上空からの慰霊飛行の依頼がありました。

遺族の方を乗せて、現場上空を飛行しました。

その時のことを話してくれた同僚によると、「お父さん〜〜〜」という叫び声と泣きじゃくる声が、いまだに耳に残っているということでした。

520名の尊い命が失われた事故

遺族の方々の深い悲しみ。

坂本九さんもその時に亡くなられています。

今でも星空を見ると、「上を向いて歩こう」の歌詞が心に響きます。

亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、このような悲劇が二度と起こらないよう願っています。

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