同じ場所を見ている二人より、違う場所を見ている二人
時速200km、高度150m。 窓を開けたジェット機の中は、轟音で何も聞こえません。 20年以上前の新潟。大雪の取材で、屋根の上で雪下ろしをしている人を撮影していました。 私は左席で操縦桿を握りながら、ターゲットに集中しています。 右席のもう一人の機長は、高度計、速度、周囲の障害物を見張っている。
時速200km、高度150m。 窓を開けたジェット機の中は、轟音で何も聞こえません。 20年以上前の新潟。大雪の取材で、屋根の上で雪下ろしをしている人を撮影していました。 私は左席で操縦桿を握りながら、ターゲットに集中しています。 右席のもう一人の機長は、高度計、速度、周囲の障害物を見張っている。
浮き上がる直前のエンジン故障 「エンジン、フェイラー!!」 副操縦士の声が響きます。 視程200m。センターラインが3〜4本しか見えません。滑走路は雪でほぼツルツル。 そんな最悪の状況で、片方のエンジンが浮き上がる寸前に故障する——。
鹿児島から福岡へ向かう便でのことです。 その日は副操縦士に操縦を任せていました。福岡空港へのアプローチが始まると、彼のプランニングに違和感を覚えました。 降下のタイミング、速度の落とし方、経路の考え方——どれも私のやり方と違う。 鹿児島福岡は30分程度の短い路線です。長年の経験で磨いてきた自分のやり方こそが、最も安全で効率的だと信じていました。
特にうまくいかなくなった時、初心に帰ってやり直そうとか思ったりして。 「もっと頑張らなきゃ」 「もっと注意深くやらなきゃ」 「次こそは失敗しないように」 そう思えば思うほど、どんどんうまくいかなくなる。
同僚と話して、自分の思い込みから解放された後、いくつか行動を変え始めました。 知識の見直し、決断を早くすること。 そして、ある時、TEDの動画を見たんです。 リーダーシップがテーマで、そこに映っていたのは、リーダーの周りに自然と人が集まってきているシーン。その真ん中にリーダーがいる。
機長審査での挫折から立ち直るために、私がやったことは3つありました。知識の徹底的な見直し、自信のあるふりをする演技術、そして3つ目——これが一番効果があったんです。 それは、人と話すこと。 でも、これは意識的にやったことではありませんでした。 審査でうまくいかなかったことから、なんだか周りの目がすごく気になるようになりました。