毎日の「当たり前」が大切
機長審査の実機審査に無事合格した時、私はほっと胸を撫で下ろしました。しかし、安堵も束の間。これは始まりに過ぎません。 ATR(定期航空事業用免許)を取得したとはいえ、これは車で言えば二種免許を取っただけのようなもの。本番は、これから始まる路線審査です。 路線OJTが始まります。この期間中、安全性、定時制、快適性、経済性を考慮したフライトができているかを逐一評価されます。
機長審査の実機審査に無事合格した時、私はほっと胸を撫で下ろしました。しかし、安堵も束の間。これは始まりに過ぎません。 ATR(定期航空事業用免許)を取得したとはいえ、これは車で言えば二種免許を取っただけのようなもの。本番は、これから始まる路線審査です。 路線OJTが始まります。この期間中、安全性、定時制、快適性、経済性を考慮したフライトができているかを逐一評価されます。
「今度こそ絶対に失敗できない」 シミュレーター審査が終わり、実機審査は、離着陸操作の安定を見られるものです。 実機審査では、緊急事態もないし、飛行は実機の方がシミュレーターより安定しているので、安心です。他のメンバーは、ほぼリラックスして審査に向かっていました。 私は、崖っぷちです。
機長昇格訓練の定期航空運送事業操縦士の免許を取る訓練。 人生がかかった勝負です。 まだ車も走っていない早朝5時、私は道路のセンターラインを歩いていました。ちょっとでもセンターからずれたら、素早くラダーを踏み込む。離陸直後のエンジン故障のイメージフライトです。 飛行機が浮く直前に片側のエンジンが止まります。
機長昇格訓練に入った頃、私たちが求められていたのは「コマンダビリティー」でした。 簡単に言えば、部下にしっかりと指示ができる人間性と、豊富な知識・経験。要するに「機長は立派で、正しくないといけない」という概念です。 でも、この「らしさ」が、人を恐ろしく変えてしまうんです。 機長昇格訓練で求められるのは、大量のノートを作っていないと「勉強をしている」とみなされないことでした。
路線部門へ移る前のヘリコプター事業部での経験を加味され、副操縦士は3年で終わることができました。 機長昇格には「セニョリティー」という年功序列のようなシステムがあって、副操縦士になった順番に機長昇格訓練に入ることになります。組合のおかげと周りの支援のおかげで、順番を確保することができました。
副操縦士になっても、変な見栄は続いていました。今思うと、自衛隊の訓練でもパーマをかけたり、なんか意味不明の見栄を張っていたのが、副操縦士になってもそのまま続いていたんです。 「俺は機長をやってたんだぞ」 そんな気持ちが、心の奥底にずっとありました。今思うと、航空大学校からスムースに行かなかったことに、意味を見出そうとしていたのかもしれません。